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2021.02.27 競技サポート

走幅跳の助走はどれくらいの努力度で行うべきか【バイオメカニクスサポート②】

バイオメカニクスサポートプロジェクトの内容をご紹介するシリーズの第2回は、走幅跳の助走速度を測定した実験をご紹介します。

走幅跳の助走速度を変えることで踏み切り準備動作と記録がどう変化するかを検証するこの実験は、走幅跳で7m57の好記録(2019年学生ランキング28位)を持つ三宅諒亨君(体育学科4年・岡山工業高)が、石村和博講師の指導の下、チームメイトである走幅跳選手6名を対象に行いました。

彼らに、最大努力での助走と、通常の助走での跳躍を行ってもらい、その際の助走速度をレーザー式速度計測器を用いて測定しました。この計測器は、日本陸上競技連盟の科学委員会が使用しているものと同じものであり、日本トップレベルのスプリンターの疾走速度も、この機器で測定されています。また、この実験では、助走から踏切までの動作をデジタルビデオカメラで撮影して動作分析も行いました。

この実験から、全力で助走することによって動作が改善した(踏み切り1歩目でうまく重心を下げることができるようになった)選手がいた一方、動作に問題が生じた(踏み切り時に膝が曲がりすぎて上に跳んでしまう)選手がいることも明らかになりました。このように、助走速度を上げることは選手によって異なる動作の変化を引き起こすことが分かりました。この結果は「現在の努力度での助走が必ずしも正しいとは言い切れない」という当たり前のようで当たり前ではない、新たな助走にトライする価値を示す貴重な知見といえます。

バイオメカニクスサポートプロジェクトでは、今後も「科学で強くなるIPU」を動きの面からサポートしていきます。