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2021.06.29 競技サポート

日本選手権で大活躍の陸上競技部、その裏側に科学サポートあり!

6月24日から27日にかけて、ヤンマースタジアム長居(大阪市)で「日本陸上競技選手権大会・U20日本陸上競技選手権大会」が開催されました。オリンピックの選考会も兼ねた注目度抜群のこの大会で、本学学生が素晴らしい成績を収めました。女子走高跳で武山玲奈さん(体育学科4年)が見事に優勝した他、2名の選手が入賞を果たしました。さらに、同時開催されたU20日本陸上競技選手権大会では、男子200mで池下航和くん(体育学科1年)が優勝、他2名が入賞と、1年生も目覚ましい活躍を見せました。

そして、この活躍の裏には、中四国インカレ、そして日本学生個人選手権で陸上競技部を支えたパフォーマンス分析プロジェクトの存在がありました。この大会にも明石啓太先生(体育学科助教)が出向き、パフォーマンス分析を実施していたのです。今回は、初の入賞を果たした芝田愛花さん(体育3年)の100mハードルにおけるデータの活用について紹介します。

100mハードルは10台のハードルを跳び越えながら100mを走る種目です。右上のグラフは優勝した2019年U20日本選手権(2019:青線)、今年の中四国インカレ(中四IC:緑線)、今回の日本選手権準決勝(日本選手権:赤線)の各局面の走速度を示しています。2019年は前半のスピードを活かした先行逃げ切り型のレースパターンでした。一方、今年の中四国インカレでは、2019年と比べて前半のスピードはやや劣るものの、後半の減速が小さく、粘り強い走りができるようになっていました。

このデータを見て、芝田さんと品田直宏監督は「粘り強さは鍛えられたので、前半のスピードさえ戻れば必ずベストタイムが出る」と考え、中四国インカレから日本選手権までの1か月半は、加速力アップのための高負荷トレーニングや、1台目のハードルをコンパクトなフォームで跳ぶためのドリルを重点的に行ってきました。

このようなトレーニングを経て、日本選手権準決勝のレースでは、2019年並みのスピードと後半の粘り強さを兼ねそろえた狙い通りの走りができたことがグラフから読み取れます。これらの分析と得られたデータに基づく適切なトレーニングで、芝田さんは3年ぶりの自己新記録、そして学生ではただ一人となる日本選手権ファイナリストの栄光をつかみ取りました。なお、日本選手権の1か月前にはケガも患い、不安な時期も過ごしました。適切なトレーニングを見事結果に結びつけた背景に、長く続いた苦しい時期、そして直前のアクシデントをも乗り越えた強い精神力があったことも、決して見逃してはいけません。

これは、スポーツ科学サポートが大成功したモデルケースといえます。データを正しく読み取り、競技力アップに必要な要素を理解できれば、トレーニング効率は格段に上がります。また、選手や指導者も迷いなくトレーニングに集中できるようになるでしょう。IPUスポーツ科学センターでは、今回のようなケースがもっと増えるよう、さらに充実したサポート活動を目指します。

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