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2020.10.09 地域連携・貢献

Q.短距離を速く走るにはどんな走り方をすればいいですか?

【このシリーズではスポーツに関する身近な疑問・質問についてIPUの教員がお答えします!】

 

Q.短距離を速く走るにはどんな走り方をすればいいですか?

A.前進する力を大きく、または、減速する力を小さくするために、足を着く位置や地面の蹴り方、足の戻し方を工夫してみましょう。

 

走る速度は走行中の歩幅(ストライド)と一歩に要する時間(ピッチ)のかけ算で決まるため、速く走るポイントは簡潔に言うと「大きな歩幅で、速く脚を動かす」ということになります。今回はもう少し踏み込んで、走行中の力について解説します。

人が歩いたり、走ったりして移動するためには「地面反力」という力が必要になります。人が地面を押すと、押した方向の「反対方向」に押した力と「同じ大きさ」だけ地面から押し返されます(作用・反作用の法則)。この地面から押し返される力を地面反力と呼びます。走っている時は速く前進したいわけですから、足で地面を後ろに向かって強く押してあげればいいということになります。

 では、実際に走ってる時にはどんな地面反力が働いているのでしょうか?図1は足を地面に着いた時の状態、図2は足が地面から離れる前の状態を示しています。図1のように足が重心(ヘソの下ぐらいにあると思ってください)より前方で地面に着いている時は地面を斜め前方に向かって押すことになり、減速する力(車で言うとブレーキ)が働きます。一方、図2のように足が重心より後方で地面に着いている時は地面を斜め後方に向かって押すことになり、前進する力(車で言うとアクセル)が働きます。このように、人はブレーキとアクセルを踏み替えながら巧みに走っているのです。

速く走るためにはこのブレーキとアクセルの踏み替え技術を磨き、ブレーキは弱く、アクセルは強くする必要があります。具体的にはブレーキを弱くするために足の着く位置をできるだけ重心の真下に近づけることが挙げられます。こうすると重心より前方に足がある時間を短くできるので、ブレーキが働く時間も短くできるのです。ただし、ブレーキをなくそうと足の着く位置を重心より後方にしてしまえば、ストライドが短くなったり、前方に転んだりという危険性もあります。次に、アクセルを強くするためには後ろに向かって地面を強く蹴る必要があります。しかし強く蹴ろうとしすぎると重心よりかなり後方まで足が移動する可能性もあります。すると地面から離れた足を前方まで戻すのにかかる時間が長くなり、ピッチが落ちてしまいます。つまり、アクセルを強めるためには地面を短時間で後方に強く蹴りつつ、次の一歩を素早く踏み出す必要があるのです。

 以上のことを踏まえて、足の着く位置や地面の蹴り方、足を前に戻す時間などを意識して走る練習をしてみてはいかがでしょうか?IPUスポーツ科学センターではあらゆる動作の分析ができるモーションキャプチャーシステムや地面反力の向き・大きさを測定できるフォースプレートを使用して、より速く走るための研究・測定を行っています。オープンキャンパスでぜひ実際の施設を見学に来てください!
10/25オープンキャンパス参加者募集中です。 https://ipu-japan.ac.jp/opencampus/

また、YouTubeで速く走るためのトレーニングも紹介していますので、そちらもぜひご覧ください!

 

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IPU・環太平洋大学体育学部公式チャンネル

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(この記事はIPUスポーツ科学センター研究員・明石啓太が担当しました。)