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2021.02.21 競技サポート

走高跳の踏切動作を3次元動作解析で解明!【バイオメカニクスサポート①】

バイオメカニクスとは、バイオ(生体)とメカニクス(力学)を合わせた言葉で、スポーツ動作の良し悪しを評価したり、動作改善へのヒントを探るのに強力な情報を与えてくれる学問です。環太平洋大学スポーツ科学センターでは、バイオメカニクスサポートプロジェクトを立ち上げ、様々な競技における動作をインスパイア内のみならず、競技現場へも出向いて評価しています。このシリーズでは、これまでに取り組んだ活動の一部を写真とともにご紹介していきます。

初回の今回は「走高跳の踏み切り動作に男女差はあるか?」をテーマに、陸上競技場で行った実験をご紹介します。この実験の企画は、2018年アジアジュニア選手権の走高跳で金メダルに輝いた友利響平君(体育学科4年・宮古総合実業高)。友利君は、指導教員である石村和博講師の指導の下、この難しい課題に取り組みました。

実験では、踏切の3歩前から足が地面を離れるまでの動作を3次元モーションキャプチャーシステムで撮影し、性別や競技レベルの違いが踏切動作に及ぼす影響について数値化しました。友利君がこの課題に取り組むきっかけは、上級生になって後輩にアドバイスする機会が増える中で、トップ選手が行っているトレーニングや技術を安易に後輩たちに勧めて良いのか、男女で同じトレーニングを行ったり、同じ技術を目標として良いのか、という疑問を持ったことだったそうです。

結果として、踏み切りの準備局面から踏み切り局面にかけて世界のトップ選手が用いる技術を、大学レベルの男女選手も用いていることが分かりました。また、踏み切り時の腕の使い方(アームアクション)によって重心の高さに特徴的な変化がみられることも分かりました。

この結果を受けて友利君は、「この研究の成果が後輩たちの今後のトレーニングや技術改善に活かされることを期待しています」と語りました。また、この実験には、走高跳で2020年日本ランキング2位の武山玲奈さん(体育学科3年・大方高=写真左)も参加し、来シーズンに向けての貴重な示唆を得ました。

このように、バイオメカニクスサポートプロジェクトでは、競技を通して生じた学生の疑問を、教員がサポートすることで解決する取り組みを進めています。