スポーツ科学センターの測定施設・インスパイアを活用して行われた卒業研究をピックアップして紹介するシリーズの第3回は、吉岡利貢教授が指導した三宅楓子(体育学科4年・倉敷天城高校)さんの研究です。
女子バスケットボール部に所属する三宅さんは、バスケットボール選手の筋力に関する先行研究を調査する中で、膝関節を曲げ伸ばしする筋力についてはたくさんの報告があるのに対して、股関節の曲げ伸ばしをする筋力についての研究がほとんどないことに疑問を持ちました。バスケットボールでは、その場から跳び上がってのリバウンドやシュートはもちろんのこと、ゴール近くまで走りこんできてリバウンドやシュートを行う場面も少なくありません。そのような場面では、股関節の伸展動作によって強く地面を蹴ることや、屈曲動作によって体を引き上げることも重要になると考えました。
そこでCybex(サイベックス)と呼ばれる筋力測定器を用いて女子バスケットボール部員19名の股関節伸展および屈曲筋力を測定しました。この測定器は、様々な動作速度での筋力を測定できるため、どのような速さで、どの関節を動かす力が競技パフォーマンスに関係しているかを調査したり、トレーニングによってそれらがどう変化したかを評価することができます。
三宅さんは、測定結果を中国ナショナルチームの選手たちを測定した研究(杨と程、2018)のデータと比較しました。その結果、この研究の対象となった選手たちの筋力は、動作の速度を問わず、伸展および屈曲とも中国ナショナルチームの選手たちより大きく劣ることが分かりました。また、ジャンプの際に踏み切る側の低速での伸展筋力と、引き上げる側の屈曲筋力が、走りこんでジャンプする際の跳躍高に影響していることも分かりました。
卒業研究を終えた三宅さんは「今回はじめて研究というものに触れて、測定項目間の関係性を見つけていくこと、また、どうして関係があったのかを考えることに面白さを感じました」と語りました。三宅さんも、前回の岩本さんと同様、春から小学校(愛媛県)の先生になることが決まっています。子どもたちにも考えることの楽しさを伝えてくれるものと思います。
環太平洋大学では、卒業研究はもちろんのこと、1年生や2年生でも、意欲さえあれば、専門の先生と協力して様々な研究や測定に携わることができます。3月20日には今年最初のオープンキャンパスも開催されます。ぜひ一度環太平洋大学に足を運んで、この環境を見てみて下さい。