お知らせ

2021.07.02 人材育成

授業紹介「体育原理」担当:和所泰史

現在、体罰・暴力問題は減少傾向にありますが、まだ根絶しているわけではありません。
体罰は学校教育法第11条にも記載されている通り、禁じられた行為です。指導と称して殴る・蹴ること等はもちろん、生徒の人間性や人格の尊厳を損ねたり否定するような発言や行為は許されません。しかし、現在でも日本国内において体罰問題のニュースが時折流れます。

環太平洋大学体育学部で開講している「体育原理」(授業担当者:和所泰史、1年・卒業必修科目)では、体育・スポーツの基礎概念について解説し、体育学・スポーツ科学を専門的に学ぶための基礎的知識を身につけることができます。
講義内容は、体育学科の学生が320名のうち、対面授業を108名、オンデマンド授業を212名履修しております。体育原理は学生のニーズに応える形として直接授業を聴講する「対面型」と撮影された授業動画を閲覧し、レポートを書く「オンデマンド型」の2種類を用意しました。学生は好きな方を履修することができます。

体罰問題については、生徒は指導者に比べて弱い立場にあるため、指導・被指導の関係を維持するために、指導者の考える愛着(体罰・暴力)を容認する共役関係が成立してしまいます。そのため、指導者と被指導者が暴力行為の問題に鈍感になりがちになります。また、体罰などの暴力行為を受けた者は受けたことがない者に比べ、体罰を肯定する傾向があります。こうした背景から、体罰を受けた被指導者が体罰を容認し、その活動を伝播させる可能性があるため、体罰を伝播させないことが根絶の大きな一歩になると指導しました。


受講者(320名)のレポートには、
「私は体罰はもちろんダメですが、体罰を容認してきたこと風潮自体がダメだと思います。」

「体罰はどんな理由であれ絶対にあってはならないものだと改めて強く思うし、自分が教師になるときには教師としての覚悟をもって生徒と接するようにしたいと思った。」

「授業で体罰というものについて深く考えさせられましたし求められる教師像というのを再確認できました。」

「体罰は、その時の自分の感情だけではわからない部分も絶対にあるので、周りの教員との日々の情報共有や自分の行動を振り返る時間が、教員にとってとても大切なことだと思います。」

「教育現場において、体罰問題という言葉自体がなくなるまでには時間がかかるかもしれないが、できるだけ早く根絶させなければならない。そのためにはこれからの教育現場を担っていく私たちの行動が重要になると思います。」


環太平洋大学でも2014年にスポーツ活動における暴力行為根絶宣言を表明しています。環太平洋大学では「教育とスポーツの融合」、「時代の求める教育の追求」といった基本理念のもと、豊かな人格を備えた教育者・指導者の養成を目指しています。この体育原理の授業を通して、体罰・暴力に頼らない優れた指導力を持った教育者・指導者を養成し、体罰・暴力の根絶に取り組んでいきたいと思います。


体育原理の授業では他にもドーピング問題や差別問題といった現在のスポーツにおける社会問題を扱うことで、体育・スポーツを根底的に思考することのできる能力の育成を目指しております。今後も知的アスリート育成のために、ぜひ、一緒に学んでみましょう。